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2025.07.29

今さら聞けないガラエポとは?特徴と用途をわかりやすく解説

 

※この記事は、加工難易度について解説した【[ガラエポ加工はなぜ難しい?]】とあわせて読むとより理解が深まります。

 

「ガラエポ」と呼ばれる素材、実は多くの電子部品や絶縁部品に使われていることをご存じでしょうか?

聞き慣れない方も多いかもしれませんが、ガラエポは絶縁性・耐熱性・寸法安定性に優れた、非常に頼れる工業素材です。

この記事では、そもそもガラエポとは何か、その構造や特徴、活用されている用途までをわかりやすく解説します。

 

 

  1. 1.ガラエポとは?|構造と呼び名の違い

「ガラエポ」は「ガラスエポキシ(Glass Epoxy)」の略で、ガラス繊維(ガラスクロス)をエポキシ樹脂で含浸・硬化させた複合材料のことです。
正式名称は「エポキシガラス積層板」、代表的な規格名は「FR-4」です。

特に電子基板用として広く使われ、絶縁性・耐熱性・機械的強度に優れた特性を持ちます。

 

  1. 2.ガラエポの主な特徴|絶縁性・耐熱性・寸法安定性

ガラエポは、以下のような優れた特性を備えています:

  • ✅ 電気絶縁性が非常に高い
  • ✅ 耐熱性に優れ、150180℃でも安定動作
  • ✅ 吸水率が低く、寸法変化が少ない
  • ✅ 高い剛性と機械的強度を持つ
  • ✅ 表面印刷や接着にも対応可能

こうした特性により、高温・高電圧環境でも安定した性能が求められる場面で広く使われています。

 

  1. 3.ガラエポの主な用途|基板から絶縁治具まで

ガラエポ材はさまざまな産業・用途で活躍しています。

  • プリント基板(FR-4)

電子部品の実装基板として最も一般的。強度・耐熱性・絶縁性すべてにおいて高い信頼性を持ちます。

  • 評価・検査治具、スペーサー

実装工程や評価工程で使われる耐熱性・寸法精度が求められる部品に最適です。

  • 絶縁ブロック(モーター・トランス用)

高電圧がかかる部分でも、安全な絶縁性能を維持します。

 

  1. 4.ガラエポ加工の注意点|優れた素材ほど扱いが難しい?

高性能なガラエポですが、切削加工には注意が必要です:

  • ・ガラス繊維が硬く、工具の摩耗が激しい
  • ・繊維方向によってバリや欠けが発生しやすい
  • ・切削時に微細な粉塵が出るため、環境対策が必要

さらに、ガラエポは硬くて脆い性質を持つため、加工中に割れやチッピングが起こるリスクもあります。
これは、素材内部に残る残留応力や、加工時に発生する急激な負荷が関係しています。

 

▼ 残留応力と加工負荷が原因になる理由とは?

ガラエポは、ガラス繊維とエポキシ樹脂を何層にも重ねて熱硬化させて作られる積層素材です。
この製造過程で、エポキシ樹脂のわずかな収縮や、層ごとの温度差・材料の膨張率の違いにより、素材内部に見えない「引っ張り」や「押し込み」の力(残留応力)が発生します。

こうした応力が素材に蓄積されたままの状態で、急に刃物が食い込む・送り速度が速すぎる・ワークがしっかり固定されていない、などの急激な加工負荷がかかると、エッジ部や薄肉部を中心にパキッと割れたり、角がチッピングすることがあるのです。

特に、穴あけ加工・端部の仕上げ・細かい溝の切削などは割れが発生しやすいポイントです。

 

▼ 加工時の「割れ」対策として有効な工夫

  • ・最適な送り速度と切削条件を設定する
     特に端部や細部の加工では、無理な負荷を避けることで破損リスクを低減できます。
  • ・広い面でしっかりと固定する
     クランプ跡が集中しないよう、圧力を分散させて保持することが重要です。
  • ・刃物の進入角や逃げ角の最適化
     工具の進入角を適切に設計することで、割れや欠けを防止しやすくなります。

精密な加工が求められる場面では、これらの配慮によって加工歩留まりや仕上がり精度を大きく改善できます。
加工のしやすさだけでなく、素材の特性を深く理解することが、安定した品質の鍵となります。

 

  1. 5.ガラエポ加工のご相談は長友製作所へ

長友製作所では、ガラエポやPEEK、ベークライトなど高機能樹脂の精密加工に豊富な実績があります。

  • ・工具摩耗を見越した加工条件の最適化
  • ・旋盤・マシニング・彫刻機による高精度加工
  • ・1点から量産まで、柔軟な対応体制

「ガラエポで精密部品を作りたい」「他社で断られた難加工を相談したい」
そんなときは、ぜひ長友製作所にお問い合わせください。

この記事を書いた人

名前:代表取締役 長友慶太